大正時代ころまでは農村部で茅葺きの家を多く見ることができました。しかし、現在では茅葺の屋根の家に普通に住んでいる方は非常に珍しくなり、意図的に保存されている地域を訪れないかぎりその姿を目にすることが難しい状況です。

茅葺屋根は茅(かや)と呼ばれるススキなどのイネ科の植物を束ねて屋根にしています。そのため、定期的に屋根を丸々交換する必要があります。昔は部落ごとに協力しあって交換が必要な屋根の修繕を行ってきたそうです。しかし時代は代わり、部落のつながりが薄れ茅葺屋根の交換技術が失われていくにつれ、茅葺屋根の維持管理が難しくなってきました。

白川郷保存プロジェクト

白川郷は岐阜県大野郡にある世界遺産の集落です。合掌造りの大小様々な茅葺屋根の家が立ち並ぶ姿はまさにタイムスリップしたようなファンタジーに感あふれ、一見の価値のある場所ではないでしょうか。

元々茅葺き屋根に使用される茅は地域に生えているものが使用され、役目を終えた茅はその土地へ還されるという流れでとてもエコな屋根材でした。しかし、現在では地域の開発により地元だけでは十分な量の茅を確保することは難しく、熊本県まで材料を調達しに行かなければならないそうです。このように茅葺き屋根は現代では逆にコストが非常にかかってしまう屋根になってしまいました。その費用はなんと約2,000万円といわれています。